親が元気なうちに考えておきたい「相続問題」~親が認知症になる前にすべきこと~

 高齢になるにつれて発症する可能性が高まる認知症。厚生労働省の発表によると2025年には、730万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症を発症すると予想されています。

 

 相続においては、認知症により判断能力が低下すると遺言能力がないとみなされ、被相続人が遺言を作成できなくなる場合があります。また、認知症の人が法定相続人として財産を受け継ぐ場合にもリスクがあります。

 〇相続人が認知症になった場合に出来ないこと〇

 ☒遺産分割協議への参加

 ☒生前贈与

 ☒介護手続き

 ☒養子縁組

 ☒相続破棄

 ☒遺言書の作成

 ☒生命保険の加入

 ☒不動産の売却・修繕

 ☒預金の解約・引出・振込

 ☒株主に場合、議決権の行使   etc…..

 

 こうした状況、そしてそこから起こりうるトラブルを回避するためには、認知症になる前の早めの対策が必要です。

 

〇認知症の人の遺言能力

 「遺言能力」の有無は、被相続人本人が、自ら遺言をすること、遺言の内容、遺言の効果などを理解できるか否かで判断されます。

 

 認知症になるとこの能力が欠けてしまうため、被相続人が遺言を作成することはできません。ただ、遺言能力は個々の遺言ごとに判断されるため、認知症の診断を受けたからといって必ずしも遺言能力がないとは言い切れません。遺言の内容次第では有効になる可能性もあります。

 

 しかし、一方で、被相続人が亡くなった後に、「被相続人は遺言を作成した時点で遺言能力がなかった」と、遺言の有効性が争われるケースが多いのも事実です。

 

 こうした事態を防ぐ為にも、被相続人の判断能力が健在なうちに遺言を作成するように、家族間で話し合いをしておくことが大切です。

 

 

〇家族信託(民事信託)を活用した財産管理〇

 認知症の人が増加している近年において注目され始めているのが「家族信託」。

 

 遺言を作成しない場合は、「家族信託」契約を締結することによって、被相続人の判断能力が失われた後の相続財産の実質的な帰属先を決めておくべきです。

 

 家族信託とは、財産の所有者(委託者)が、信頼できる家族や親族等(受託者)に財産を託し、託された人は、財産から利益を受ける人(受益者)のために、財産を管理・承継するという仕組みのことです。

 

 委託者が受託者に信託契約した時点から信託が開始されるので、例えば、父親が元気なうちに息子に財産の管理権限を移行する、ということができます。成年後見制度や遺言と違って、認知症になってから、亡くなってから効力が発生するのではないため、父親が元気なうちは息子に財産管理を指導するようなことも可能になります。

 

 受託者は財産の所有者になりますが、委託者から財産の委託を受けた内容(信託の目的)の中で所有することになるため、必ずしも自由に財産を利用できるわけではありません。

 

 ただ、信託契約した財産を親のために使用するということであれば、息子が資産運用をして、親の老後資金にすることも可能です。

 

 被相続人の財産の帰属先をあらかじめ決めておくことで、相続時の財産の把握が容易にもなります。

 

 

 Point 相続が「争族」にならないように!!

 遺産相続は、場合によっては、親族間で骨肉の争いに発展することもあります。そうならないためにも大切なことは、早めの備え、家族間での話し合いです。

 超高齢社会の日本において、認知症は深刻な社会問題になっています。決して他人事ではありません。「まだ大丈夫」などと思っていると気づいた時には手遅れに、という事例も多数あります。

 親が元気な今こそ、家族内で話し合いをして、将来の対策を考えましょう。

 

 

 

 司法書士・行政書士山本法務事務所では認知症対策における家族信託、相続・遺言のご相談をお受けしております。

 一人で悩まずにまずはお気軽にご連絡ください。相談は何回でも無料です。

 

 

 

家族信託の活用事例②~親なき後問題~

家族信託の活用事例②~親なき後問題~

 障がいを持つ子どもを抱える家庭にとっては、その子の面倒を全面的にみている両親が将来その子を支えれなくなってしまったら、その子の財産管理や身上監護は誰がどのように担ってくれるのか?という不安や心配が最も切実な問題ではないでしょうか。

 

 これを「親なき後問題」といいます。

 

 「親なき後」と言っても、親が亡くなった後だけでなく、認知症や病気で障がいを持つ子どもの面倒がみれなくなった場合にも該当します。これまでは、成年後見制度を利用し、信頼できる専門家等に後見人になってもらうなどの手段がありましたが、そのような付き合いの専門家がいない家庭の方が多いと思います。

 

 そこで今回は「家族信託」を活用して、信頼できる家族に障がいのある子の支えになってもらう事例を紹介します。

 

 

事例3:親なき後の障がいがある子どもの財産管理

 次女からの相談。父は数年前に他界しており、母には、長女と次女がいます。長女には障害があり、身体が不自由です。長女には配偶者や子供はいません。今まで母と長女が同居しており、母が長女の面倒を看ていました。しかし、最近母の物忘れが増えており、今後の母自身のことや長女の生活が心配です。母は自分の財産は長女の生活を配慮しつつも、子ども2人には平等に相続させたいと考えているそうです。

 

●何もしなかった場合

 母の年齢と現在の状態を鑑みると、数年後には認知症など、意思判断能力が失われる状態になってしまう可能性があります。その場合には母名義の不動産の管理や処分、預貯金の引き出しなどができなくなり、また、長女の生活を見守ることができなくなるなどのリスクがあります。

 

 

●家族信託を使った場合

 自宅とアパート、金融資産を今後は次女が管理できるように信託契約を結びます。

 

 信託スキーム設計1 

 委託者    母

 受託者    次女

 受益者    母

 第二受益者  長女及び次女

 信託財産   自宅、アパート、現金(自宅及びアパートの管理費用・敷金)

 信託終了事由 母及び長女の死亡

 帰属権利者  次女

 信託スキーム設計2

 委託者    母

 受託者    次女

 受益者    母

 第二受益者  長女

 信託財産   現金(母と長女の生活資金)

 信託終了事由 母及び長女の死亡

 帰属権利者  次女

 母が将来施設に入居する可能性があるため、その後は長女の生活の管理を次女がみていく必要があることから、母の財産を次女が受託者として管理し、母他界後は託された財産を次女が長女のために管理を継続する、長女亡き後は次女にその財産が帰属するという内容の家族信託を設計します。

 

 今回は、母と長女の「生活資金」と「自宅とアパートの管理」という信託契約を2つに分けました。

 

 設計1は「自宅とアパート」を信託財産としており、第二受益者は長女と次女であるため、母他界後はアパートの家賃収入を長女と次女2人で受けることを、

設計2は母と長女の生活費として金銭を信託財産として信託し、母他界後は次女が信託金融資産を使って長女の生活費などの管理をすることを目的としています。

 

 家族信託を活用することで、徐々に意思判断能力が失われる状態になっても、数年に亘って日常生活費の送金、不動産の管理や修繕、高齢者施設の費用の支払いなどの行為も信託契約で決めた目的に従って、次女の判断で財産を自由に処分、活用することができるようになります。また、もしも次女一人で長女の日常生活の管理まで行うことが負担となったときには、成年後見制度を使い専門家等を活用することで、信託財産は家族信託で受託者の次女が、それ以外の日常生活費など管理や身上監護は後見人が行うことで次女の負担を軽減しつつ、柔軟な財産管理を行うこともできます。

 

 そして、母と長女が他界した後は、次女がすべての信託財産を残余財産として受け取ることになります。

 

 このように、「家族信託」を活用することで、次女の心配も母の想いも解決することができました。

 

 今回使った家族信託は「受益者連続型信託」というものです。この仕組みを活用することで、親なき後問題だけでなく、二次相続や三次相続についても様々な活用ができます。受益者連続型信託は長期の信託契約となるため、当初想定できなかったリスクが発生するおそれもあります。必ず、家族信託に精通した専門家に相談して、「信託監督人」などに就任してもらうなど、長年にわたってサポートしてもらうようにしましょう。

 

 

 熊本での「家族信託」のご相談は行政書士・司法書士 山本法務事務所までご連絡ください。

 家族信託専門士の認定をされた行政書士が丁寧に説明いたします。ご相談は何度でも無料です。

 まずはお電話で。096-293-2676

家族信託の活用事例①~認知症対策~

認知症対策

 「家族信託」の相談事例の中で一番多いのが認知症対策です。高齢の親が所有している財産の管理や承継を認知症になる前に対策したいとの相談が多いです。これは、超高齢社会がますます進むに伴って、確実に認知症の方がさらに増えてくるため、今後日本全体の大きな課題であると考えます。

 

 認知症に備えてどのような対策をするべきか、事例をもとに考えていきたいと思います。

 

 

事例1:高齢の親の実家を管理 

 現在、古い一軒家に一人暮らしをしている母(80歳)がいます。父は数年前に他界しており、母には、長男と長女がいます。その母は最近、足腰が悪くなってきており、将来は高齢者施設への入居を考えております。また財布や預金通帳がどこにあったか分からなくなったりするなど、母の物忘れが最近増えており、認知症が心配です。

 

●提案

 母の年齢と現在の状態を考えると、数年後に認知症など、意思判断能力が失われる状態になる恐れがあり、その場合には、例えば施設に入居するための自宅の管理・処分などができなくなるリスクがあります。

 現在、長女は嫁いで遠方に住んでいるが、長男は近くに住んでおり、母の様子を見に、週1,2回訪問していること、今後、母の介護をしていく長男に任せる意向が母にあることから、長男に母の財産を託す「家族信託」を提案しました。

 

 家族信託を利用することで、徐々に意思判断能力が低下し、判断できない状態になっても、数年にわたって日常生活費の送金自宅の管理や修繕高齢者施設へ入所後の処分などの行為も信託契約で決めた目的に従い、長男の判断で母の財産を自由に処分、活用できるようになります。

 

 信託スキーム設計 

 委託者(託す人)     母

 受託者(託される人)   長男

 受益者(利益を得る人)  母

 信託財産         自宅、預貯金

 終了事由         母の死亡

 帰属権利者        母の法定相続人

 

 

 ★結果・・・・・円満な相続対策、特に「家族信託」は、家族全員の理解と協力が必要です。そのため、その仕組みと今後の母の介護のこと、生前対策のことを母、長男、長女を交えて説明し、家族会議を開き、しっかりと当事者全員の想いをヒヤリングした上で、今回の対策を実行することになります。

 

 

 

事例2:高齢アパートオーナーの資産管理 

 自宅とアパートを複数所有している父(87歳)がいます。子供は長男(60歳)と長女(56歳)の2名です。

 父は自分でアパートの管理を行っていますが、先日急に倒れ、数日間入院するなど、体調や具合も悪くなってきました。その後は無事退院しましたが、物忘れが出始めており、認知症の症状が心配になってきました。今後認知症の程度が進んだ場合、アパートに入居希望者が出た場合や退去者がでた場合の契約手続きなどのアパート賃貸管理や修繕、相続の問題が心配です。

 父は、自宅、アパート2棟(AアパートとBアパート)のほか、金融資産を所有しています。同居する長男に自宅とAアパートを、長女にはBアパートを相続させたいと考えています。

●何もしなかった場合

 認知症などで父親の判断能力が喪失した場合には、アパートの賃貸管理や売却処分、大規模修繕、建替え等の相続対策ができなくなります。また、父親の相続発生後、遺言を作っていない場合には、相続開始後10か月以内に法定相続人間で誰が何を相続するか遺産分割協議をまとめる必要があります。そのため、資産の多い少ないに関わらず相続人がもめて「争族」になってしまうことがよくあります。

 

 

●成年後見制度を使った場合

 父親に資産があるため、親族は成年後見人にはなれず、弁護士や司法書士、行政書士等の専門家が成年後見人になる可能性が高く、その場合、父親にとって意味のある合理的な理由のある支出しか認められなくなります。家族にとってメリットのある行為(例えば、将来の相続対策としてのアパートの建替えや大規模修繕、売却など財産の整理、処分行為)をすることができなくなります。もちろん、孫にお年玉も上げられなくなります。さらに、専門家に支払う報酬などのランニングコストもかかってきます。また、父親の相続発生後、遺言を作っていない場合には、相続開始後10か月以内に法定相続人間で誰が何を相続するか遺産分割協議をまとめる必要があります。

 

 

★家族信託を使った場合

 長男が相続予定のAアパートについては長男を受託者、長女が相続予定のBアパートについては長女を受託者、そして利益(家賃など)を受け取る権利は父親とするために受益者は父親とする信託契約を2契約締結します。

 信託スキーム設計1  

 委託者    父

 受託者    長男

 受益者    父

 信託財産   自宅、Aアパート、現金

 信託終了事由 父の死亡

 帰属権利者  長男

         

 

 信託スキーム設計2

 委託者    父

 受託者    長女

 受益者    父

 信託財産   Bアパート、現金

 信託終了事由 父の死亡

 帰属権利者  長女

 

●結果

 委託者と受益者が父親であり、名義だけを受託者である長男、長女とする信託契約としているので、不動産取得税や贈与税、譲渡所得税などは発生しません。父親が元気なうちは、父親と長男、長女が共同でアパート管理を行い、将来、父親が判断能力を失う状態になった場合には、受託者である長男、長女がそれぞれのアパートの財産管理処分権限を持っていることから、入退去時の賃貸借契約のほか、大規模修繕や建替え、売却を行うことが可能になります。

 

 また信託契約書の中に、将来相続が起こった場合に、どの物件を誰に相続するのか残余財産の帰属先を定めておくことができます。そのため、別途遺言の作成や遺産分割協議をしなくても、物件を管理している長男、長女がそれぞれ信託契約者で定めた通りに財産を相続させることができ、生前に円満に、財産管理と遺産分割をまとめることができました。

 

 このように、「家族信託」には、成年後見制度よりも柔軟な財産管理、遺言の機能による財産承継など、今までいくつも必要だった契約が一貫してまとめることが可能です。

 

 自分の財産を「信頼できる家族」に託して、家族の「」を深めてみませんか??

 

 

 家族信託などの財産管理や承継のご相談は「山本法務事務所」へ。お気軽にご連絡ください。

 熊本県菊池郡大津町大字大津1438-9

 行政書士・司法書士 山本法務事務所

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家族信託はどんな事に使えるの??

 よくお客様から「家族信託はどんな事に使えるの??」と聞かれます。

 

 まだ熊本では専門家も少なく、認知度も低いので世間の人たちが「家族信託」を知らないことが多いです。しかし、先日の新聞報道で、「認知症の方々が保有される金融資産の総額が215兆円」にもなることが報じられていました。これは日本の国家予算が97兆円強であることを考えると、2年分の国家予算を超える金額です。

 

 さらに、超高齢社会はますます進展するのですから、この金額は今後一層増加するであろうことが容易に推測できます。それら膨大な資産が認知症等で凍結してしまうことなく、適切に社会に流通するためには、「成年後見制度」や「家族信託」といった制度をもっと多くの方に知らしめ、早いタイミングから検討し手続きをしていただく働きかけが重要だと、強く感じています。

 

 

 そこで、今回は上記の「認知症」はもちろん、それ以外の場面で「家族信託」がどのような事に活用できるのかということを紹介していきたいと思います。

 

 

 ●認知症対策(高齢者の財産管理)

 相談事例で一番多いのが、高齢の親が所有している財産の管理、認知症対策です。親が元気なときに子(家族、親族)との間で信託契約をし、財産の名義を子に変更することで、信託契約後の財産管理を受託者である子が行うことができます。

 

 

 ●数次相続対策(子どもがいない夫婦の相続、相続人でない親族の方の生活安定など)

 昔と比べると、現代の家族環境は多様化しています。既に認知症の配偶者がいる、子がいない夫婦、高齢者同士の結婚、親族の生活安定も望むなど、家族を取り巻く環境は大きく変わってきています。そのような複雑な家族構成には既存の生前対策では対応することが難しくなってきています。従来、数次相続は関係者全員から遺言を書いてもらうことで対応していましたが、遺言者の判断能力が無くては出来ないですし、いつでも撤回できるため、後継者が後で気が変わってしまったら、当初想定していたように進まないことや他の相続人からの遺留分減殺請求の問題もありました。

 「家族信託」では契約であるため、撤回できない内容にすれば当初の意思は変更できません。次の世代やその次の世代、何世代にも渡り想いを届けることが可能になり、従来よりも柔軟な対応ができるようになりました。

 

 

 ●親なき後に障害をもつ子の生活を保障したいケース(親なき後問題)

 障害をもつ子どもを抱える家庭にとって、その子の面倒を全面的にみている両親が将来その子を支えられなくなったら、その子の財産管理や身上監護を誰がどのように担ってくれるのだろうかという不安や心配が、最も切実な問題です。

 最も一般的な対策案としては、親が元気なうちに信頼できる法律家などの専門家を成年後見人に就任させておくことが考えられます。信頼できる専門家が後見人になることで将来長きにわたって子の財産管理や身上監護を担ってくれるというのは、大きな安心です。しかし、信頼できる専門家がいるという人はそれほど多くはないでしょう。

 そこで、「家族信託」を活用することで、信頼できる子や親族などに財産を託し、遺された子の生活・療養・介護等に必要な資金の給付を安定的に確保することができます。また、「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」の仕組みを利用することで、遺言能力のない子に相続人がおらず、最終的に残った財産が国庫に帰属してしまうような場合において、財産の最終的な行く先まで親が指定することが可能です。

 

 

 ●ペットの世話ができなくなった時に代わりに世話をして欲しいケース(ペット信託)

 ペット信託はペットを飼っている飼い主にもしものことがあったときに備える信託です。これは、あらかじめ財産の一部を信託契約を用いて信頼できる人物や団体に託し、自分が世話できなくなったときはその信託財産から飼育費を支払うことによって、ペットが生涯幸せに過ごし続けることのできる仕組みです。信託契約により、ペットのための飼育費は相続財産とは別になり、安心して託すことが可能です。さらに、信託財産の利用の仕方に監督人を付けることができるのが大きなメリットの一つです。

 

 

 ●会社経営者が事業承継をしたいケース(株式信託)

 戦前は隠居と家督相続により、会社の株を渡すことは簡単でした。しかし、現在では生前贈与、売買、遺言など株を渡す方法はあるが、多額の贈与税や買取資金がかかったり、後継者の成熟などの問題があります。

 ところが、家族信託ならこのような問題を解決できます。

 株を後継者に信託します。これにより議決権は後継者に渡り、後継者は会社の実権(人事権など)を握ります。一方で、必要に応じて、先代にも後継者の会社運営に指図ができる「指図権」を残します。そのため、後継者が完全に実権を握るわけではないのです。このような仕組みを作ることにより、後継者の適性を試しつつ、後継者を一人前に育てることもできます。

 また、配当をもらう権利などの受益権は先代に残すので、贈与税はかかりません

 先代が元気なうちに、会社の実権を渡すことで、認知症などになっても、後継者がすでに実権を握っており問題は発生しないのです。

 

 

 

 このように「家族信託」を活用することで、これまでできなかったことができるようになりました。

 

 日本は超高齢社会に突入し、今後もますます進行していきます。以前の生前対策は「遺産分割対策」や「相続税対策」ばかりが注目されていました。しかし、高齢化に伴い、認知症などの不健康寿命も長期化しています。「本人または家族の財産をどのように管理していくのかということを考えていかなければなりません。

 

 問題が発生する前に、しっかりとした対策を検討し、準備することが必要です。

 

 財産を守っていくために、信頼できる家族と一緒に将来を考えていきましょう。

 

 

 熊本の「家族信託」や相続、遺言などのご相談は 山本法務事務所へ!!

 相談は何度でも無料です。お気軽にお電話ください。

 

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 司法書士・行政書士 山本法務事務所

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家族信託の検討のタイミングとは??

Q.いずれ家族信託を含め、認知症対策などを検討したいと思っていますが、父はまだまだ元気です。父の相続や父の意思判断能力が衰えることを前提とした話題は、出しにくくて困っています。どうすればいいですか??

 

 というような相談に来られる方は少なくはありません。

 家族信託に限らず、家族の中で、相続や認知症になった場合を想定しての話題はなかなかしにくいものですよね。そのため、親が認知症を発症してしまった後で、「家族信託は使えないですか?」という相談が多いのも事実です。残念ながら、認知症などによって意思判断能力を失ってしまった後では、いかなる契約行為もできません。

 

 自分自身や親が元気な間は、確かにこうした話題は出しにくいでしょう。

 

 しかし、唯一といってよいタイミングは下図のとおり限られています。

 

 

人は対策ができるときには何もせず、問題が起きたときは何もできない!!

 

 どんなに今は元気で強気な人でも、ちょっとしたきっかけで「将来に対する不安や心配」を感じるときは必ず来ます。

 

 私の祖父も前は「俺はボケんし、病気にもならん!」と言ってましたが、数年後物忘れが激しくなり認知症になりました。私たちの場合は生前贈与や任意後見などで対策していたのでなんとかなりましたが・・・。法律家なのでw

 

 しかし、なかなか一般の家庭の方々がしっかり対策してたケースはまれでしょう。自分自身の相続や資産承継について、あるいは残された家族について考え始めるこの時期こそが、家族信託を検討する「最後のタイミング」です。

 

 このタイミングは、もちろん人によって到来する時期が全く異なります。まだ若くて元気な時期からこうしたことを考える人もいれば、本当に身体の自由が利かなくなって初めて「不安」を感じる人もいます。

 

 いずれにしても、「不安や心配を感じたタイミング」が家族信託を検討するタイミングです。

 

 そして大切なことは、「検討するときは、しっかりと検討する」ということです。

 

 意思判断能力が失われてしまうと、もはや手遅れです。もし、本格的にその兆候が少しでも現れたならば即時に手が打てるようしっかりと検討し、今すぐに信託契約を実行せずとも、少なくともその準備をしておくことが大切です。

 

 今回、「家族信託」という新しい制度を理由に、一度家族間で相続のことや認知症対策のことを話し合ってみてはいかがですか??

 

 

 

 

 当事務所では、「家族信託専門士」がどんなに小さな悩みでも親身になってご対応いたします。

 家族信託の仕組みや流れ、費用などを聞きたい方ぜひ一度お気軽にお電話ください。

家族信託専門士の認定を頂きました。

 皆さんこんにちは!!熊本の行政書士 山本隆之です。

 

 一般社団法人家族信託普及協会が主催する「家族信託」の研修を受けて、この度「家族信託専門士」の認定を頂きました。

 

 家族信託に取り組んでいく上で、大切なことをしっかりと学ぶことができました。東京や福岡などの都市部では、家族信託が広がりをみせていますが、まだまだ熊本では認知度が低い状況です。

 

 我々行政書士や司法書士、弁護士だけでなくその他の専門家たちともチームを組んで、少しずつでも普及させていきます。

 

 たくさんの方の笑顔に繋がるお手伝いをさせてください!!

 

 

 相続や認知症対策、親なき後問題などに「家族信託」を検討してみませんか??

 まずは、お気軽にお電話ください。

 

家族信託の検討から組成までの流れ

 こんにちは。熊本の行政書士 山本隆之です。

 

 今回は「家族信託」を知って、検討したいが、「誰に相談すればよいのか?」「流れはどんな感じか?」「費用は?」という疑問に答えていきたいと思います。

 

 

◎家族信託の検討から組成までの流れ

 家族信託はそれ単独で検討するというよりも、相続対策(相続税対策も含む)、遺言制度、成年後見制度などの利点とあわせて検討することが大切です。しかしながら、「相続のプロ」を自称されている人であっても、この家族信託について詳しく知っている人は意外と少ないのが現状です。

 

 A.家族信託は司法書士、行政書士、弁護士が主に業務として行っております。しかし、その誰でも良いわけではなく、「家族信託コーディネーター」「家族信託専門士」という資格を持った専門家に相談するのが良いでしょう。これは、一般社団法人家族信託普及協会に所属し、研修を積んだ方が認定されるものです。私も専門士の認定を頂いておりますので、お気軽にご相談ください。

一般社団法人家族信託普及協会HP→http://kazokushintaku.org/

 

《信託検討から実行までの5つのステップ》

 

①.相談とヒヤリング ⇒信託組成の判断

 まずは、どのような信託組成になるかを組み立てる段階です。

 財産を託す方、託される方、そのご家族皆さんの想いや願いをしっかりとヒヤリングします。 遺言や成年後見制度と違って、家族信託は本人だけでなく、ご家族の思いも反映することが可能です。そのために、ご家族の協力が必要不可欠です。

 ヒヤリング後、税務や不動産などの専門家とともに最適なスキームの設計を行います。

 

②.信託設計と見積り

 信託の設計と組成に必要なコストを理解し、組成の意思決定を行う段階です。

 家族信託は、個々の状況や要望に応じたオーダーメイドが基本です。本人やご家族の想いがしっかりと反映されているか確認してください。専門家と称している人の中には雛形に当てはめるだけの人もいます。そうなったら、本人たちの想いが組み込まれていない場合があるので注意してください。

 また、どのような設計にするかで、必要となる手続きも変わってきますので、費用の概算を見積もってもらいましょう。

 

③.当事者及び関係者への説明と賛同(コンサル契約と配役設定)

 関係する家族への説明と理解を得る段階です。

 家族信託は遺言と異なり「契約」ですので、関係する家族等との合意のもとに契約を結ぶ必要があります。制度上は契約当事者でない家族の同意は必要ではありませんが、やはり家族や親族(特に推定相続人)にはきちんと契約の内容や趣旨、必要コストを説明し理解を得ることが大切です。家族の理解がない状態での家族信託は不可能でしょう。

 

④.実行、専門家連携・進捗管理(信託契約書、公正証書、登記)

 実際の信託契約書を作成するなどの「実務」を行う段階です。 

 契約書面の作成や税務申告等の実務は、専門家が連携して行います。

 ①及び②で作成した信託設計に基づき、正式な書面・手続きを行います。

 

⑤.信託契約に従い、継続フォロー(監督業務、会計、アドバイス)

 信託組成後の継続的な活動を行う段階です。

 信託契約に基づいて主として受託者が信託財産を管理・運用していきます。信託された財産の管理状況、収支報告を定期的に受益者もしくは信託監督人*に報告します。また、信託財産から収益が上がっている場合には、受益者について確定申告も必要になります。

 

 *信託監督人:受託者が信託財産を委託者の意向に従って適切に管理しているかどうかを第三者の立場から監督する人のことです。主に、コンサルティングを行った専門家が就任することが多いです。受託者がいきなり完璧に信託業務を行うことは難しいでしょう。そのため、信託監督人を依頼して、継続的なフォローをしてもらいましょう。

 

 

《信託組成にかかる費用例》

 ●総資産5,000万円のケース(基本財産:自宅+現金少々)

  Ⅰ:信託組成コンサルティングフィー・・・・・・・32万円*

    (⇒コーディネート費用10万円、専門家契約書作成等費用22万円)

  Ⅱ:公正証書の作成費用・・・・・・・約3万円

         合計費用:35万円(登記費用及び登録免許税等除く)

 

 ●総資産1億円のケース(基本財産:自宅+アパート+現金)

  Ⅰ:信託組成コンサルティングフィー・・・・・・・62万円*

    (⇒コーディネート費用25万円、専門家契約書作成等費用37万円)   

  Ⅱ:公正証書の作成費用・・・・・・・約8万円

    合計費用:70万円(登記費用及び登録免許税等除く)

 

 おおむね固定資産税評価額の0.5~1%程度

 

 一般的に信託組成に必要となる主な費用としては、

 Ⅰ:家族信託の仕組みの設計・信託契約書の作成コンサルティング報酬

 Ⅱ:公正証書作成費用

 Ⅲ:不動産の信託登記に関する登記手続き報酬

 Ⅳ:不動産登記の登録免許税等の実費

 Ⅴ:信託監督人などへの報酬(設置する場合)

 

 ★信託財産の内容にもよりますが、不動産をメインとする信託を組成する場合、上記Ⅰ~Ⅳのイニシャルコスト(初期費用)の総コストは<信託財産の約1.2~2%>

 

 ここで記載した費用等は専門家によってさまざまですので、一度お問い合わせください。

 

 

 最後に、家族信託は本人だけでなく、家族の想いも反映することができため、「家族の財産を家族で守って行こう!!」という制度です。家族の協力が必要不可欠であるため、家族の理解や納得を得た上で、進めて行きましょう。我々専門士は皆さんの家族会議に参加するようなイメージで信託の組成に取り組みます。一人一人の想いをしっかりとヒヤリングし、それを組み込んでいきます。

 また、家族信託はゴールでなくスタートです。組んだら終わりではなく、信託契約を結んでから家族の財産を守る冒険の始まりです。我々専門士は信託契約が終了するまでの長い期間、信託監督人への就任やアドバイスなどでのフォローを徹底していきます。

 

 家族の財産管理・承継の一つの手段として、「家族信託」を検討してみてください。

 

新しい財産承継「家族信託」~認知症対策~

 こんにちは。熊本の行政書士 山本隆之です。

 

 近年、認知症の対策として、家族信託が注目され始めてきました。

 まだ世間一般的には認知度が低い制度ですが、徐々にテレビや雑誌などで特集が組まれ始めており、新しい財産承継の一手段として皆様に知っておいて欲しい制度です。

 

 

 家族信託が意味する、「家族が家族のために家族に財産を託する」信託のスタイルは、実は大正11年に制定された旧信託法の時代にも存在してましたが、平成18年の改正による新信託法によって、広く一般の方でも信託の仕組みを利用しやすくなりました。

 

 

 今回は、この『家族信託』の概要を簡単にわかりやすく説明しようと思います。

 

 

 ①健康寿命と認知症

 

 まず、なぜ昨今「家族信託」が注目され始めているのかを知ることが重要です。

 

 平成25年度において、男性の平均寿命は80歳を、女性は86歳を超えたと言われています。医療の発達に伴い、今後さらに寿命は伸び続けるでしょう。日本は超高齢社会に突入し、様々な問題が世間では騒がれていますが、寿命が伸びることは素晴らしいことではないでしょうか。年金などの問題はお国がしっかりと対応すればいいことですよね。

 

 では、上記①のタイトルにも書いた「健康寿命」とは??これは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいいます。この「健康寿命」と「平均寿命」の差が男女平均して10年ほどあると言われています。この期間は身体上の問題、意思能力や判断能力が制限される状態となることを意味しています。個人差はあるものの、意思判断能力を喪失してしまうと、財産の管理や処分といった行為は原則できなくなります。

 

 その最大の原因のひとつが「認知症」です。現在、65歳以上の高齢者の内、認知症及びその予備軍とされるのは全国で860万人以上とされており、高齢者人口の4分の1にもなります。超高齢社会と併せてこれからさらに増えるであろう認知症に対し、「健康寿命」を念頭に置き、「判断能力を失った期間」のあなたの財産または家族の財産をどのように守っていくのか・・・。

 

 相続税対策などを考える前にこのことをしっかりと対策することの方が大切であると考えます。

 

 そこで、この認知症対策に対する備えとして、「家族信託」の仕組みや成年後見制度との違いを伝えていこうと思います。

 

 

 ②家族信託の基本構造

 

 家族信託とは、簡単に説明すると、「今現在財産を持っている方が信頼できる相手(家族)に自分の財産の管理や処分をする権限を託す」という財産管理の仕組みです。

 

 ある意味、管理委託や委任に似ていますが、この家族信託という制度を使うことによって従来の相続対策や資産管理の手法では出来なかった様々な事ができる可能性が出てきます。

 

 仕組みはシンプルです。

 

 今財産を持っている方を「委託者」と呼び、管理を任せる、つまり託す財産のことを「信託財産」といいます。その信託財産を実際に管理する方のことを「受託者」といいます。そして、その財産から得られる収益を得る方のことを「受益者」と呼びます。

 

 家族信託の構造は、基本的にこの3者構造で成り立っています。

 上図例では、父親が「委託者」兼「受益者」になり、息子を「受託者」として、父親の財産を父親のために息子が管理・運用・処分していくという仕組みになります。法制度上は、財産管理を担う受託者には「個人・法人」あるいは「専門家・素人」の誰でもなることができます。家族信託はこの受託者に家族、親族が就くことで「家族で財産を管理しよう」、「一族でその財産を守っていこう」という仕組みを実現することが目的です。

 

 よく言われることの一つに「息子といえど自分の資産をまだ知られたくない。」という意見があります。確かに、気持ちもわかります。そのため信託財産は資産の全部ではなく、一部、例えば「不動産のみ」や「預金の一部だけ」ということも可能です。さらに、信託契約に「自分が認知症になったら・・・」という風に様々な条件を組み合わせることも可能です。今は知られたくないけど、意思能力が無くなった仕方がないと思う方でもしっかりとヒヤリングして委託者の『思い・願い』を反映することが可能になります。これは、今までなかなか出来なかったことです。

 

 

 

 ③成年後見制度との違い

 

 では、これまで認知症対策として利用されてきた「成年後見制度」とはどうちがうのか??

 

 まず、成年後見制度とは、認知症や病気、あるいは知的障害、精神障害等の事情により、意思判断能力が万全ではない人の法律行為や財産の管理を本人に代わって行う制度です。

 

 後見人は本人のために財産をしっかりと守るという職務を負うことから、家庭裁判所もしくは後見監督人の指導・監督下に置かれます。

 

 基本的に成年後見制度の目的は意思判断能力を失った被後見人(本人)の代わりに、後見人が、被後見人の財産を守る(減らさない)よう、強い権限で管理することです。したがって、本人や周囲の希望とは関係なく「本人にとって最低限必要な支出」しか認められず、推定相続人や家族にメリットのあるような行為、例えば、将来の相続を見越して生前贈与や財産を整理・処分することは、基本的には認められません。

 

 つまり、成年後見制度を利用している限りにおいては、柔軟な財産管理は難しく、家族のための支出や将来の相続対策を考えたくてもほぼ何もできません。また、たとえ本人のためであったとしても、積極的な投資や運用なども実行できません。その点「家族信託」では、本人が元気なうちに財産管理について希望をしっかりと託しておくことで、受託者がその希望に沿った柔軟な財産管理や運用が可能になります。

 

 現在、この成年後見制度を利用している人の数は、約20万人ほどで、認知症及びその予備軍とされる人の数(860万人以上)から比べれば、かなり少ないことになります。その理由は、様々ですが、上記にも書いた柔軟な管理ができないことや年一回の裁判所への財産状況や収支報告があり負担が大きいなどではないかと思います。

 

 さらに、認知症が発症してから申立てする「法定後見」の場合は、基本的に家族は後見人になることほぼできません。弁護士や司法書士などの専門家が後見人になります。そのため、毎月の報酬(月3~4万程度)など費用の面でも躊躇する方が多いという理由もあります。

 

 しかし、一方で、被保険者の身上監護(介護や医療にかかわる施設入所など)については成年後見制度を利用するしか方法はありません。そのため「家族信託」と「成年後見制度」をうまく組み合わせて双方の利点を活かす設計が必要になるでしょう。

 

 

 

 ④家族信託のメリット

 家族信託には、広く知られている「委任契約」「成年後見制度」「遺言」の各機能のよいところが含まれています。それぞれの制度を利用するにはそれぞれ別に手続きを必要としますが、家族信託では、一つの信託契約の中にそれらの機能を盛り込めることが最大のメリットです。

 

 信託契約締結とともに委託者は財産管理を受託者に託すことになります(名義だけを受託者に変更する)。その後、委託者が病気や事故、認知度などで判断能力を喪失したとしても、一切影響を受けずに受託者による財産管理が遂行できるため、成年後見制度の後見人が必要なくなる可能性があります。

 

 また最終的に、相続が起きた後、誰にどのような財産を遺すといった遺言で書くべきところを信託契約で遺しておくことで、預けていた財産の承継先を指定できるため、遺言の機能を持っているといえるのです。これまで民法では不可能であった二次相続、三次相続以降も家族信託による遺言で指定が可能になりました。これは民法の概念を覆す、とてつもないことです。

 

 

 いかがでしたか??

 今回は「家族信託」の入門編として、簡単に概要を説明しました。これからの新しい財産承継の形として「家族信託」を活用ししてみませんか!?まだまだ奥が深い制度で、「障害をもった子の親なき後問題」や「事業承継」、「ペット」のためにも活用することが可能です。

 

 少しでも気になった方はお気軽にお問い合わせください。